前回に引き続き『変形性股関節症』のお話です。
前回は、手術はしないという場合は保存療法を選択する事になりますが、デメリットもありますよというお話をしました。
では保存療法ではどんな事をしていけばいいのか簡単にお伝えしますね。
関節の変形と痛みの関係。
関節の変形というものは、その関節を取り巻く筋肉・靭帯の張力バランスの狂いから、長期間無理な運動を強いられることで生じます。
この状態では、過度に使われて疲弊してしまう部位や、使われなくなることで弱くなってしまう部位がでてきます。
こうなると、疲弊した部位は疲労による痛みが起こり、弱くなってしまった部位は軽い負荷でも痛みが生じるようになります。
また無理な動きがくり返されることで、関節周囲の筋や靱帯には細かな傷がたくさんできてしまいます。
この細かな傷が「できては治り、また傷ついて」をくり返す事で関節はその形を変えてゆき、変形性関節症へと発展してしまいます。
保存療法では、過労で固くなっている筋を弛めつつ、弱っている部位を鍛えていく事が大切です。
そうする事で、変形するような無理な動きをくい止めることができるため、症状の進行を抑えることができます。
過労により痛みが生じやすい筋は、腸腰筋や内転筋といった筋肉です。
腸腰筋
内転筋
こういった筋はガチガチに固くなっている事が多いため、しっかり弛めていく必要があります。またこれらの筋と繋がりが深い、「ふくらはぎ」や「足首」なんかも股関節痛に関わることが多いです。
後脛骨筋(オレンジ部分)
痛みに直結する場所がほぐれたら、次に弱っている筋肉を活性化させます。だいたいの方が、お腹とお尻の筋肉が弱くなっている事が多いです。
この辺りの筋肉を活性化させないと、いくら腸腰筋や内転筋などの固さを取っても、またすぐに固さがもどってきてしまいます。
そのため患者さんご自身での簡単なトレーニングを習慣にして行う事も大切です。
このような手順で治療を展開していくと、症状の進行を抑えることができますし、普段の生活も楽になる方が多いです。
しかし状態によっては、手技療法では追いつかないケースもあります。その場合はドクターとも相談しながら経過を診た方が安全です。
心配な方は、手技療法でどこまで変化が出てくるかまずは試してみてくださいね。